宗像大社辺津宮 下高宮祭祀遺跡 福岡県宗像市田島
Munakata taisya shrine Hetsumiya Shimotakamiya ritual site
Tajima, Munakata city Fukuoka Prefecture
下高宮祭祀遺跡は宗像大社辺津宮社殿の背後にある高台の中腹にあります。
沖津宮のような巨石はありませんが、同じ露天祭祀が行われてきた場所とのこと。
現在は、遺跡の一部が高宮祭場として整備されており、秋季大祭には、
ここで神奈備祭が行われております。
この辺りから、釣川の河口や大島へ続く海を見渡すことができましたが、
今回は高宮祭場を参拝するだけで、あまり長くは滞在しませんでした。
後日、調べてみると、付近の複数個所から土器や滑石製品などが採集されており、
また、この高台の山頂部に古墳があったことを知りました。
高宮祭場の東側では石製模造品の舟形が採集されており、
その場所は、ちょうど海の方を眺めていた所のすぐ横でした。
西側と北側の斜面からも須恵器や土師器が採集されており、
その一部は布留式最古段階のようです。
沖ノ島や大島からも同じ頃の古式土師器が発掘されており、
沖ノ島で岩上祭祀が始まる前に、下高宮祭祀遺跡、沖ノ島と大島で、
土器を主体とする在地の祭祀がすでに行われていたと考えることもできるようです。
山頂の古墳は、上高宮古墳と呼ばれ、4世紀後半に築造された直径23mの円墳です。
社家の祖神伝承地とのことで、今は祠があるそうですが、
一般の方の立ち入りはできません。
江戸時代の初め社殿の修復の際に、
風除けの土塁を造るため掘り下げたところ、箱式石棺が出てきたそうです。
中から、鏡12点の根72点太刀2点が見つかりましたが、そのまま埋め戻されました。
大正15年には、福岡県と史跡名勝天然記念物調査会が調査することになりました。
石棺には赤色顔料塗られており、
鏡1点、銅鏃6点、勾玉20点、管玉11点、蕨手刀子2点,刀子2点、鉄斧2点、鉄鏃40点、
鉄剣4点以上、鉄刀2点以上、短甲、滑石製品が発掘され神宝館へ寄託されました。
一部は宗像郷土資料館へ寄贈されているとのことです。
昭和12年には第三宮跡(現在の第三宮と護国神社の間の辺り)で
倣製鏡、短甲形石製模造品や土器が出土しています。
また、第二宮跡周辺(結婚式場の横の道と下高宮旧参道が交差する辺り)で
鏡や太刀が度々出土していたことが江戸時代の文献で伝えられております。
最後の写真は頂上部にある祠への参道のようです。
2017.7.30