像高4cm 愛染明王
剥離痕が残る磨製石斧
磨製石斧 Polished stone axe
縄文時代後~晩期 BC20th-4th century, late~final Jomon period
寸法 L14cm W5.5cm D2.5cm
石斧は字のとおり石の斧。
木を切り倒すための道具です。
現代の道具と比べると少し頼りないですが、
間違いなくその役目を果たすそうです。
切り出された原木は、住居の柱や丸木舟、
また身の回りの木製品の材料にも用いられ、
石なれど、縄文人の生活に充足をもたらしてきたことと思われます。
以前、斧らしからぬ、大変整った形の石斧を見たことがあります。
丁寧に造られ研磨された流線型の姿はとてもきれいで、
見た瞬間の印象が今でも忘れられません。
今回掲載させていただく、
この石斧は、見た目より重く、手に取ると重量感があります。
全体を丁寧に研磨し、表面はとても滑らに仕上げられています。
側面に至るまでよく研磨されており、
触るとつるつるした滑らかな感触が心地よいです。
側面に縞模様があり、堆積層が見えています。
石材は分かりませんが、緑色凝灰岩でしょうか?
磨製石斧の材料には、石質が均一で緻密な石材が選ばれており、
安山岩、蛇紋岩、緑泥片岩、砂岩の石がよく使われているそうです。
石材の見極めもしていたことと思われます。
良く見ると、ところどころに表面には剥離痕が残されています。
石斧は採取した原石をハンマーで何度も敲いて成形し、
最後に砥石で磨き仕上げられます。
深く抉れたり、大きく剥離していたり、
部分的に研磨されていたりする剥離痕は
成形時の敲打の痕跡のようです。
見ていると、石斧を作る縄文人の姿が目に浮かぶようです。
この痕、これはこれで見所なのかもしれません。