20180207_hanarakan3700











   W4cm     H7cm      D3cm     厨子外寸

            


            

       





こちらの愛染明王は本体の高さが2cm程度でございますが、
ほぼ木地のまま仕上げられ、蓮弁も一枚ずつ彫刻されています。
よく見ていただくと、持物も全部揃っていることが分かります。
逆立った髪や着衣、胸元の装身具にも彩色がされております。

一般的に、体だけでなく光背から蓮弁まで、
赤いイメージが強い愛染明王ですが、
これは仏教で説かれているところの、
煩悩愛欲の激しさを象徴しているそうで、
愛染明王はその煩悩を、
清らかな菩提の心へと導く仏さまとのことです。

蓮華座を支える壺も特徴的で、
宝珠やら貝やら宝物が溢れだすとても賑やかなものもございます。

江戸時代には、この壺を藍染めに使われる藍壺に見立て、
愛染と藍染の語呂もよく、染織関連の人々からも信仰されておりました。

通常の愛染明王は一面六臂の姿で、手前の手に金剛鈴と金剛杵を、
二番目の手にに弓と矢を、三番目の手に蓮の花を持っており、
左手(左第三手)は持物を持たずに握り拳で表ます。

一部の仏画では左第三手に、日輪や宝珠、輪宝、甲冑、人頭、鳥など、
異なる持物を持つ姿で表されております。
どうやら本来の愛染明王は、私的なお願いをするほとけさまだったようで,
左第三手は祈願の目的により持物を変えて描き、
願いを書いた紙を左第三手の裏側に貼り付けて、
彫像ならば、獅子冠の口に入れて、祈祷がおこなわれていたようです。

平安時代の貴族たちが成功や出世、健康、寵愛などを願う様子が、
その頃の日記や記録に残されているとのこと。





愛染明王坐像        Aizen myouou zazo

江戸時代             Edo period 17~19 century 

2018.3.29



20180207_hanarakan370320180207_hanarakan3704IMG_275520180207_hanarakan370720180207_hanarakan3705